「風景」の、その先。
うーん。
イスラエル博物館が所蔵する絵画が東京で公開され(三菱一号館美術館「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」展)、レッサー・ユリィの作品が注目を集めている。
のだそうだ。
私、行ったんだこの展覧会。話題の、レッサー・ユリィの「夜のポツダム広場」のポストカード、買ったんだ。
絵のことなぞ一つもわからない。詳しい人に話せば「ああ、レッサー・ユリィね〜」くらいなもんだろと思ってた。
でも、日本ではほとんど無名の方だったんだそうだ。今回の展示でいきなり話題を集め、ポストカードの売上はモネの「睡蓮」を越えて1位らしい。
うーん。なんだろう。なんか悔しいような嬉しいような。
絵のことなぞ一つもわからない。ノリで行ってしまった美術館で、わかりもしない絵をふんふん言いながら見て、それでも印象に残ったのはユリィの絵だった。私は最初に見た「風景」という絵の光の加減が完全に好みで。そのあとの赤い絨毯と窓、冬の道と空と、夜の雨の街。あ、これいいな、と思う度にユリィだった。
「風景」のポストカード欲しかったのになかったから「夜のポツダム広場」を買って帰った。
注目を集めてるからなんだ。話題になってるから、ポストカードが売れたからなんだってんだよと、思う。芸術の価値はそれが全てではない。わかってるこちとらアングラ出身だ。
けれどなんだか、今回の顛末には少し救われた気がしているのだ。それが悔しくて嬉しい。誰かとユリィの絵の話をしたい。