Girls in the Ark:方舟入り娘たち。/ガラスの花と壊す世界
「ガラスの花と壊す世界」
アニメ映画である。未来の話。
現代に生きているとSFに触れる機会は多く、多くのクリエイターがあらゆる形で未来を描いてくれている。クリエイティブでない私の脳はもうパンパンで、すでに私は「未来ってどうなるんだろう?」ではなく「この中のどれが『あたり』なんだろう?」みたいな状態に近い。
「ガラスの花と壊す世界」はそんな感覚に寄り添うような、またちょっと違った視点をくれるような、そんな不思議な作品だった。
おそらくストーリーとしてはよくある部類なのだろう。しかしこの微妙に独特な味はどこから来るものだろう。たぶん物語の主題からは外れたところで私のシミュレーテッドリアリティ脳が激しく反応してしまい「つまり過去も現在も未来であり、今は今であると同時にすべてなのか…」みたいなことを、見ながらずっと考えていた。
この映画がどんな評価なのか知らない。ストーリー比だと絵柄がかわいすぎる気もするし上映時間は一般的でない気もするし、どんな経緯の作品なんだろう。アンテナのない私にわかるのは「社会現象と言われるほど話題にはならなかった」ということくらいか。
なんで観ようと思ったのかも自分で思い出せないのだ。いつの間にか引っかかっていて、良いタイミングで見れた。ありふれたもののように見えて、ただ何か、細い糸をたぐり寄せるような、小さな気付きをくれる作品だったように思う。縁があってよかった。
あと声優さんはなかなか手堅いキャスティングだったようだ。やっぱり声もかわいすぎるかなと思ってたけど、シリアスなシーンの佐倉綾音さんの声は深く胸に刺さって、少し驚いた。
SF過多のこの世界のどこかで私たちは「それ」をすでに各々目撃していて、しかし想像力と表現は無限にあって、いつかたどり着くまで、私たちは目撃し続ける。
少しだけ私のSF視点は深くなった気がする。さあ、未来はどうなる?果たして事実は小説より奇なるものなのか。長生きしたい。