仰げば thought “シ”。

3月だ。

3月になると思い出す。

私だけの「仰げば尊し」の物語を。

物語なんて大仰なものじゃないが。歌詞の拡大解釈、または間違い解釈の話。

「仰げば尊し」の2番に「身を立て 名をあげ やよはげめよ」という歌詞がある。

つまり「立身出世して、ひとかどの人物になりなさい、(なれるよう勉学に)励みなさい」てなところだろう。しかし。

この歌詞に触れるとき、私がイメージしていたのは戦場だった。

死屍累々の戦場。味方も敵も刀折れ矢尽き、それでもまだ戦は終わっていない。

私も傷付き、疲れ、倒れ伏している。そんな私に、誰かが言うのだ。

「立ち上がれ、名乗りを上げろ。命ある限り戦え!!」(←これが前述の歌詞の解釈)

私は残された力を振り絞り、立ち上がり掠れる声を張り上げる。

「音ニキケ、目ニモ見ヨ、マダ死ンデネエゾゴルァァァァ!!!」

そんな感じだ。

そんな感じだったってことにあるとき気付いて。違うな、これ違ってたな私、ってなった。サツバツである。卒業式で歌う歌じゃない。

まあ人生観が出ているというか何というか。正直このイメージは気に入ってるのだ。私は毎年ひとりでイマジナリー戦場を見ており、毎年戦場へ向かう戦士たちにエールを送っているのである。

「今こそ別れめ いざさらば」の意味合いも変わってくる。「先ニ地獄デ待ッテルゼ」とか「怖クナイヨ、私モスグニイクカラネ…」とかになるのだ。泣けるが物騒。