無題/餞
民主主義ってなんだろう、とか。
暴力ってなんだろう、とか。
「殺してやる」って言葉と、本当に殺すという物理の間にあるもの、とか。
命が失われること、とか。
命を奪わざるを得ないほどの想い、とか。
私にはできるのか、とか。
タイミング、とか。
責任、とか。
人権という幻想、とか。
守ることも生み出すこともできない自分、とか。
結局は殺すほど想うことも、殺されるほど想われることもないであろう自分、とか。
罪と罰、とか。
代償、とか。
信念、とか。
悪、とか。
あらゆる深度で、あらゆる角度で、考え続けで、まとまらないままで。
できることなどない。はなからない。わかっていても。何もできないくせに、何もしてこなかったくせに。この、怒りのような、後悔のような手触りをしたものは、いったい、何なのだ?
許せない。どうしても許せないことさえ、もはやどうでもいい。
そんな資格ない、わざわざ口に出す必要ない、誰に向けることもできない、それでも、
私はあなたのことが、キライじゃなかった。
今は既に、安らかならんことを。