流るる乳の彼岸と此岸。
七夕だったのだ。
七夕らしいこと何もしなかったなと、七夕じゃなくなってから思った。
七夕らしいことって何だと、らしいことしたからなんだと、思ったりもするが。
夜空を見上げることひとつしなかったなと思うと、じんわりと後悔が胸に来る。
何の見返りもいらない。誰かとの共有も必要ない。私は私だけの寿ぎを求めているのだ。
彼らの邂逅に力を貸すことができなかった。私がしくじったことを、私だけしか、知らない。
一日遅れて見上げる夜空。傘のかかった半月が、幻想的。
脳裏に笹の葉がさらさらと。揺れる短冊。私の眼では、都会の空に天の川は見つけられない。
…うちの故郷じゃ、七夕は八月七日なんだぜ。
捨て台詞を吐いて、家路につくのみ。