キセキたどるキセキ。/We Are The World
「キャロルアンドチューズデイ」を見終わった。んー、大団円。きっともっと闇深い物語を紡ぐこともできたのだろうが。着地点を敢えてここと定めたことに、小さな祈りのようなものを感じた、気がする。
そして私が勝手に感じる「We Are The World」感。これは個人の感想なのか、こういう仕様なのか。よくわからない。
「We Are The World」を初めて聴いたのはたしか中学の時だ。聴いたっていうか観た。学校で英語の先生(たぶん)が教材としてビデオを見せてくれたのだ。
この歌がいかなるものかについて先生はあまり語らなかったように記憶している。我らはただ観て聴いた。私は彼らを一人も知らなかった。マイケルすらそれと意識していなかったことを覚えている。
印象に残っていたのは「縁日のカラーひよこみたいな髪した女性シンガーが急に来る」である。シンディだ。急に来て、歌うときのあの顔である。そんなことしか覚えていない。
「結成されて歌った奇跡の瞬間」であったこの歌は、私にとって「その後知れば知るほど起こり続ける奇跡」である。名だたる人々。最近ではサビでいきなり来るブルース・スプリングスティーンの激シブワイルドボイスを心待ちにしてしまう。
たとえば、「今、僕らにできる事」という曲が好きだった。当時のオールナイトニッポンパーソナリティ勢揃いソング。つまりこのテの「特別な人たちが特別に集まって交互に歌ったりだの合唱したりだの」に弱いのだろう。
しばらく前にミュージカル俳優さんたちが「民衆の歌」をネットで合唱してるの聴いて「そうそうこういうの!」ってなった。ちょっと違うけど一時期の「歌ってみた」合体合唱も好き。
キャロルとチューズデイがそうしたように、描くのは簡単で、でも実現するのはとても大変なことなんだろうけど、でも安い手法といえばまあそうなのかも知れない。でもまあ私は安い観客だし。
ささやかな奇跡にやすやすと救われる、そんな夜があってもいいかなと、思う。