can I hear your voice?/アイの歌声を聴かせて

下北沢のミニシアター「トリウッド」で映画見た。「アイの歌声を聴かせて」。

年が明けたらトリウッドでアニメ祭だぜーいろいろ観るぜヴァイオレットエヴァーガーデンも観れるんだやったぜーって思ってたのに、気がついたら1本も観ずにほぼ終わってた。ヴァイオレットエヴァーガーデンも終わってた。年明けてからちょっと想定外の事態があったのだ、あったとはいえ今思えばいくらでもタイミングあった。まことに遺憾。

悔しいのでまだやってたアニメ映画を前情報なしで観てきた。「アイの歌声を聴かせて」。

AIとロボットの話。だから自然と私の観る眼は厳しくなるのだが、あるあるだけど観ているうちにだんだんどうでもよくなる。「それが『心』であるのかどうか」は、主人公たちにも私にも、ほんとはどうでもいいのだ。あちらもこちらも個々はプログラムに過ぎない。

ただ巻き起こされる恋と青春。最近免疫力が落ちてるな。こっ恥ずかしい。それがよい。

終わってから見たけど監督「サカサマのパテマ」の人か。あれも不思議な話だったな。

そして土屋太鳳さんである。

どうもこの人は私のかわしづらい角度からパンチをぶっこんでくることが多い。「ちちんぶいぶい秩父」とか「るろうに剣心」とか。フツウのドラマなら言えることはありそうなのになんかこうなると良いとも悪いとも言えん。たぶん結果好きなんだろうな。

この映画でも、初手の違和感が演技なのかそうでないのか、AIという役どころに持たせた演出なのかそうでないのか、わからなかった。ただ違和感はある。その違和感が、いつの間にかなくなっている。ラストシーンのあの瞬間はまさに、ただもう一度あの声を聴かせてほしい、と祈っていた。ぶっこまれた。ぶっこみの太鳳だ。

テーマに対する新しい気付きは少なかったように思う。恋と青春も見飽きてる。でも真摯に丁寧な、美しい映画だった。今このときにたまさか出会えたことを忘れまい。

ふんわりとだけど大好きな小説「星の舞台から見てる」を思い出した。読み直そう。